2002年5月5日日曜日

ムケ

 31歳の誕生日。前もってフロントマン(名をラジーヴというが、日本名はタクヤだと言い張る。誰か日本人が置いていった木村拓哉の写真があって、そっから日本名を勝手にとったらしい)に話してたこともあり、下に降りたら花の首飾りをくれる。ありがたいけど重たい上にやたらと匂いがきついので礼を言って部屋に戻ってはずしました。すまない。ところでラジーヴ、俺の腕の日焼けに伴う皮剥けを見て病気か? などと真面目に言うのでこすりつけてやったら本気でびびってました。これはマイスキンがリーインカーネーションしてるんだと教えてあげると日本人は蛇みたいだねと言われてしまった。
 
 11時頃宿を出てベンガリー・トラへ。途中現地の男に「日本人? ダイキラーイ」などと言われる。無視。昨日見つけられなかったムーンスターレストランへ。正面にあるニュースターホテルレストランと客の取り合い。名前も似てるので気を付けましょう。ここでチキンカレーとバターナンと水。全部で70ルピーと高めではあるが他の店と比べものにならないくらいきちんとうまいのでよろしい。その後例のクミコハウス公認のシルク店、コテージシルクエンポリウムへ行ってみるが、例の店主アニールが不在で従業員のおっさんが相手。いろいろ商品を見せてもらい、アニールが戻ったところで買う物を決定。スリーピングブッダのプリントされた布。特に必要なものでも欲しい物でもないのだがついつい。

 メインロードに出ると今度はやたらと日本語ペラペラな男が話しかけてくるのでこれはなんだか怪しいなあどうしようかなあと思ってると「私はムケです」と名乗る。ムケといえば堀田あきお&かよ『インドまで行ってきた!』(小学館)のバラナシで登場するキャラクターではないか。しかも自分で映画『DEEP RIVER』(邦題『深い河』)に出た、テレビドラマ『深夜特急』に出て大沢たかおと会った、『ビッグコミック』(『インドまで行ってきた!』掲載誌)に出たという。なんか面白そうなので彼のシルク屋(ガンガラムシルクハウス)へついていってみる。すると堀田さんの単行本を出してきたり『深夜特急』の一場面をプリントした写真を出してきたり(一緒に映ってる子どもがムケとのこと。番組中で「神様買う?」といってずっと主人公の後をついてきた子どもの役)、なんだかとってもお喋り。で、マンガの主人公と同じく俺も商品は買わないよと言ったのだが全然平気。しかも握手でお別れです。マンガにイイ奴として登場させたくなる気もわかります(画像勝手に使ってすいません)。

 ホテルへ戻り、目の前のハリチャンドラガートで火葬場を眺めてると、子どもサイズと思われる身体を包んだものを誰かが持ってきて人々が集まっている。子どもは火葬しないということだったのでどうするのかと見ていたら、その身体に重しをつけて、沖へボートで漕いで出てガンジス河の真ん中辺でぼちゃりと沈めておしまい。実にあっけない。でもたまに重しと結んでるロープがほどけて浮かんでくることもあるんでしょう。

 その後路地を通ってアッスィーガートへ。そこからガート沿いにパンチガンガーガートまでの長い距離を歩こうと思う。途中アッスィーガートにあるやや高め(550ルピー)のホテルを見学したりしてガートを北上。クミコハウスの前で若者たちがクリケットをやっている。眺めながら歩いてるとゲーム参加者の一人に日本語でこんにちわと声をかけられる。返事をするついでに彼を見ると何となく見覚えのある顏。もしかして5年前くらいにこのへんでブルース・リーのシャツ着て走り回ってなかった? と聞くと、そうです僕です。ラジャス(多分そう名乗ったはず)ですという。彼は俺のことを覚えてない様子であったが(単に俺が日本人だから日本語で挨拶してきただけ)、今はボート漕ぎして元気だということを確認。良かった良かった。

 そこからまた北に進んだあたりのカフェで一休み。店の番人が日本語でいろいろ話しかけてくるので相手しつつ、今日は俺の誕生日なんだよなんて言ってたら他の席に座ってたシアトル出身の男性がジュース代をおごってくれた。なので「もしも君のバースデーに再会したらジュースおごるよ、ありがとう」と御礼。なんだかいろいろある日である。

 で、その後ダシャーシュワメードも通り過ぎてマニカルニカーで火葬見る? なんていうしつこい連中もかわしてパンチガンガーガートへ向かうが、こっから先は行ったことなかったのでどれくらい進めばその目的地なのかわからない。そしてこっちは停電なのかガートにライトがついておらず、闇はどんどん深くなる。はっきりいって身の危険を感じます。そこでそこらにいる人にパンチガンガーガートはどこかと問うと、今来た方向にバックせよなどと言われてしまう。来すぎた! 仕方なくもう暗いし恐いので来た道をどんどん戻り、またマニカルニカーで火葬見る? なんていう子供たちをやりすごしてダシャーシュワメードガートへ。ベンガリー・トラに入りアンキタレストランで食事。でもってクミコハウス前のガートからガート沿いにホテルまで戻ろうと思ったらそっからホテル方面までも停電。こりゃ危ないので再びベンガリー・トラから帰ろうかと思い戻ったところリンクシルクハウスの横で今中に君の友人がいるよと声をかけられる。中に入るとナトゥがいたので少し話し込み、何にも買わないと言うのにペプシをおごってもらってしまう。ありがたいけど申し訳ないです。で、その後ガートの停電も直ったのでホテルへ戻る。
インドまで行ってきた!―Asian deep walking (Big comic books―Back‐packer’s guide)

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